キャンプ場に戻り、着替えを済ませてから早速調理に取り掛かる。
手のひらに収まるサイズのカニたちはまだちゃんと生きてくれていた。
それを丁寧に一匹ずつ、オリーブオイルを熱したコッヘルに入れる。
はじめはじたばた抵抗するが、すぐに力を失い、息絶えて、殻の表面が赤くなる。
現地で生き物を調達して食べるとき、死の瞬間はつきものだ。
その瞬間に立ち会うとき、毎回どぎまぎしてしまうのだが、冷静を装うようにしている。
自分が捕食者である以上、最初から最後まで対象と向き合うことが食べることだと思っている。
日常の生活ではそれがままならないが、野外で活動しているあいだはそれを積極的にしたいと思っている。
単純に、採れたてのものをおいしく調理して食べるということが幸福だということでもあるけれど。
完全に火を通し、殻がカリカリの素揚げ状になったところでヘラで潰す。
カニ味噌の旨味と油をよく絡ませる。
4匹のカニを全て揚げたらそこらへんに生えている浜大根の実をむしり、一緒に炒め合わせる。
少し塩を振って出来上がり。
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